転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


473 ストールさんはね、僕とお話するのが楽しいんだってさ



 ニコラさんたちに剣の振り方を教えてあげた次の日。

「それじゃあ、行ってくるね!」

「ええ、また夜に」

 僕はニコラさんたちに行ってきますした後、迎えに来てくれたストールさんの馬車に乗って、お爺さん司祭様と一緒に錬金術ギルドに向かったんだ。

「ストールさん。もう、ロルフさん来てるかなぁ?」

「旦那様の事ですから、実験が楽しみでお約束の時刻より早く到着されていると思いますよ」

 ストールさんとそんなお話をしながらごとごと馬車に揺られていると、いつもの三角屋根のお家が見えてきたんだ。

「あっ、錬金術ギルドが見えてきたよ」

「そのようですわね。ですがルディーン様。停止した際、ケガをする危険がありますから窓から身を乗り出すのはおやめください」

 だから僕、開けた馬車の窓から頭を出してストールさんに教えてあげたんだよ。

 でもね、そしたら危ないからやめてって怒られちゃった。

「はーい」

 僕はそうお返事するとね、馬車の椅子に座りなおしたんだよ。

 そしたら段々と馬車がゆっくりになっていって錬金術ギルドの前にとまると、前の小窓が開いて御者さんが今から踏み台を出すからちょっと待ってねって。

 でね、それからちょっとしたら扉が開いて、僕たちは馬車を下りたんだ。


 カランカラン。

「こんにちわ! ロルフさん、もう来てる?」

「おお、ルディーン君、おはよう。今日も元気じゃのぉ。もちろん、もう来ておるぞ」

 いつもの赤い扉を開けてこんちはのご挨拶をすると、いつものカウンターのとこに座ってたロルフさんが、おはようって返してくれたんだ。

「旦那様。ハンバー司祭様とルディーン様をお連れしました」

「うむ、ごくろう。ライラはこれから、ルディーン君の館に向かうのじゃな?」

「はい、館の者たちやニコラさんたちの指導がございますので」

 僕たちと一緒に錬金術ギルドに来たけど、ストールさんは僕んちでみんなのお勉強を見てあげないとダメでしょ?

 だからロルフさんにご挨拶した後、また夕方迎えに来るねって言ってすぐに帰っちゃったんだ。

「ねぇ、ロルフさん。ストールさん、大変じゃないかなぁ? 僕たちが泊まってる宿屋さん、ここからそんなに遠くないから、歩いても来れるよ?」

「それには及ばぬよ。ライラもな、実を言うとルディーン君と共に馬車に揺られるのを楽しんでおるのじゃよ」

 ストールさんはね、僕みたいなちっちゃい子とお話する事があんまりないんだって。

 だから前からお話するのが楽しくって、他の人に任せてもいいのに僕が来ると毎回馬車に乗って一緒に来てくれてたそうなんだよね。

「じゃからな、ルディーン君。そんな事はライラに言うでないぞ」

「うん、わかった! 僕、言わないよ」

 馬車でここまで来るの、別にいやって訳じゃないもん。

 僕もストールさんとお話するの楽しいから、それだったらこれからも迎えに来てもらおっと。


「にぎやかだと思ったら、もういらっしゃっていたのね」

 僕がロルフさんとお話してるとね、奥からバーリマンさんが出て来たんだ。

「ハンバー司祭様。ようこそいらっしゃいました」

「うむ。邪魔をしておるぞ」

「バーリマンさん、おはよう!」

「おはよう、ルディーン君。来てくれてありがとうね」

 さっきロルフさんにこんにちわ! って言ったらおはようってお返事されたでしょ?

 だから今度はちゃんとおはようってご挨拶したんだよ。

 そしたらバーリマンさんはにっこり笑ってお返事すると、もう揃ってるんだったら早速お薬作りを始めませんか? ってロルフさんに聞いたんだ。

「おお、そうじゃな。ではルディーン君。ちと手伝ってもらえるかのぉ?」

「うん、いいよ!」

 って事で、僕たちは錬金術ギルドの中にある実験をするお部屋に移動したんだ。


「ところで、ルディーン君。ベニオウの実の皮に含まれておる薬効について、何処まで話してあったかのぉ?」

 前にお話を聞いてからちょっと時間がたっちゃったでしょ?

 だからロルフさん、何処までお話した? って聞いてきたんだよね。

「えっとね、セリアナの実の油とおんなじのが入ってるのと、魔力がいっぱい入ってるってのは聞いたよ」

「それと、ルディーン君が作った酒は、それだけでも肌を蘇らせる効果が少し認められたと言っておったな。後は、熟成をさせると、髪の毛にも効果があると」

 あっ、そう言えばそんな事も言ってたっけ。

 お爺さん司祭様が僕の忘れてたことまでお話してくれたおかげで、ロルフさんは白くて長いお髭をなでながらそうだったそうだったって頷いたんだ。

「して、ヴァルトよ。おぬしの事だ。先についておったからには、ルディーン君が持ち帰ったベニオウの実の皮について、わしらが来るまでに調べ終わっておるののではないか?」

「うむ。大まかなところまではな」

 ロルフさんはね、僕たちがここに来るまでに解析で調べといたベニオウの実の皮に事をお爺さん司祭様に教えてあげたんだ。

 それによると、ベニオウの実の皮には、お肌つるつるポーションを作るのにいるって思ってた3つの成分のうちの一つしか入ってなかったんだって。

 でもね、他にベニオウの実の油とおんなじ成分が何個か入ってたから、それのおかげでお肌がつるつるになってたんだって解ったんだ。

「なるほど。前に調べた時は3つの成分だけに注目したようだが、やはり他の成分も必要であったのだな」

「うむ。そしてもう一つ、驚くべき事が解ったのじゃ」

 それとね、ベニオウの実の皮にはもう一個、セリアナの実の油には入って無いものがあったんだそうなんだよ。

「驚くべき事だと?」

「うむ。実はね、このベニオウの実の皮には、強い治癒系の魔力も含まれておるようなのじゃ」

 ロルフさんが言うにはね、ベニオウの実の皮にはなんと治癒の魔力まで入ってたんだって。

 でもさ、治癒の魔力って、おケガを治したりする魔法に使う物でしょ?

 でもベニオウの実が魔法なんて使うはずないもん。

 だから僕、何でそんなもんが入ってるんだろう? って頭をこてんって倒したんだ。

 そしたらね、ロルフさんのお話を聞いてからずっと黙ってたお爺さん司祭様が、もしかしたらこうなんじゃないかな? って思った事を話してくれたんだ。

「前に聞いた話によると、森の中に生えておるベニオウの木は入り口付近のものよりはるかに成長しておるのであろう? その理由が、この治癒の魔力なのではないか?」

「おお、そうか。治癒系の魔法は生物の生命力を活性化させてケガを治すと聞いた事がある。ならば魔木であるベニオウの木が周りにあふれる魔力を吸収し、それを治癒の魔力に変えて循環させることで大きく成長しておると言われれば合点がいくのぉ」

 キュアとかの治癒系魔法って、おケガをあっと言う間に治しちゃうでしょ?

 あれって不思議な力で傷が消えちゃってるんじゃなくって、治癒の魔力で体がすっごく早くおケガを治してるんだって。

 ロルフさんはね、それとおんなじでベニオウの木は周りの魔力を治癒魔力に変えて使う事で、おケガを治す時とおんなじように成長してるんじゃないかなぁ? って言うんだよ。

「強い魔力によって動物から変質したまものと違って、ベニオウの木はその性質を変えずに大きくなっておるようじゃからのぉ。ラファエルの言う通り、治癒の力を持って体を大きくしておると考える方が自然じゃ」

「うむ。グランリルでとれる薬草は、薬効こそ強くなっておるがベニオウの木のように大きく育つという事は無い。その事から考えるに、ベニオウの木は治癒魔力を内包する、とても珍しい植物なのであろうな」

 そう言って二人で盛り上がってる、ロルフさんとお爺さん司祭様。

 それにね、このお話を聞いたバーリマンさんもすっごく喜んでるんだよね。

 だから僕、なんでそんなに喜んでるの? って聞いてみたんだよ。

 そしたらさ、これでお肌つるつるポーションや髪の毛つやつやポーションが作れる可能性が上がったからなんだってさ。

「何で、治癒の魔力があるとお薬が作れるって思うの?」

「ああ、そう言えばルディーン君にはまだ話していなかったわね。実は君が作った二つのポーションには、強い治癒の魔力も含まれていたのよ」

 バーリマンさんたちはさ、ベニオウの実とセリアナの実でお肌つるつるポーションが作れるって解ったら、知り合いの神官さんに治癒の魔力を注いでもらうつもりだったんだって。

 でもベニオウの実の皮に最初っから治癒の魔力が入ってたら、そんな事しなくってもバーリマンさんたちだけで作れるもん。

 だからこんなに喜んでるのよって、バーリマンさんはにっこり笑ったんだ。



 ベニオウの木、ただの魔木ではなく、治癒の魔力まで含んでいました。

 ただこれ、ある意味当たり前なんですよね。

 だって治癒魔力が入っていなければ、発酵させて作っただけのお酒をぬっただけでお肌が若返る効果が出るはずないのですから。

 現代の化粧品同様、薬効成分だけでも荒れた肌の改善くらいはするかもしれませんが、若返る事なんてありえませんからねw


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